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母の命日に思うこと

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私の母は8年前の5月20日にエベレスト登頂後、下山中の8500m地点で遭難し、遺体は現在もそこに安置してある。今でも「収容できないのか?」と尋ねる方がいるので説明するが、「ヒマラヤでは8000m以上をデスゾーンと言い、そこで遭難した場合は回収を諦めるのがルール」。将来、高性能のヘリコプターが開発され、安全に現地まで行ける時代になれば収容したい。
日本人ほど遺体や遺骨に執着心の強い国民はいないと考えている人が多い。現に東日本大震災においては海底や、川をせき止めて川底の遺体捜索まで行った。しかし、アメリカにも過去の紛争(第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争・湾岸戦争等)の際、行方不明になったアメリカ人について調査をするための戦時捕虜行方不明者調査隊(JPAC)がある。JPACはおよそ400人で構成され、毎年世界各地を調査し、行方不明のアメリカ人の遺骨が埋葬されていると思われる場所を探して発掘作業を行っている。遺骨が回収されると、世界最大の法医学系人類学研究所であるJPACの中央識別研究所に運ばれる。ここで身元識別を試み、アメリカ人の身元が特定されると、遺骨は軍礼とともに遺族に返還されるのだ。

対して日本は未だ南方を中心に約百万柱の遺骨が眠っていると言われながら、戦後復興にかまけて戦死者の遺骨をなおざりにしてきた。この問題を提起すると「今さら」という反応が多いことにも驚く。それにしても、戦死者に対して礼を尽くしてもらえない我が国で、今後誰が国のために殉ずるというのか。
昨年、私は「福山歩兵第四一連隊」の激戦地跡をフィリピンのレイテ島の山中に発見した。関係者に問い合わせたところ、戦後、遺骨収集団が調査した記録は無い。おそらく多くの遺骨や遺品が眠っていると思われるので、現地調査に協力いただける方がいればご一報いただきたい。私達の世代で戦後の清算を済ませたいものだ。母の遺体も孫の代で収容してくれることだろう。
by kkochan-com | 2012-05-20 21:30
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