![]() 7月18日(月) 4台のトヨタ・ランドクルーザーに分乗し、まず近所の日曜朝市のような場所に行きましたが、タロイモ、サツマイモ、バナナ、ピーナッツ、ココナッツ、燻製にした魚等、様々な商品がゴザの上に並べられ、活気に満ちていました。市場を後にして一路ココダに向かいます。ココダはスタンレー山脈の玄関口に相当し、ポポンデッタから約100kmですが、悪路続きで約3時間かかりました。途中、多くの橋が大雨で流されているため、ランドクルーザーは川の中にザブザブ入って渡河し、アドベンチャー気分満点です。ココダの丘はメモリアルパークとして整備されており、私たちは猛暑の中ここの慰霊碑前で慰霊祭を執り行いました。慰霊祭の流れは、①献花 ②「君が代」斉唱 ③黙祷 ④追悼文朗読 ⑤焼香 ⑥「暁に祈る」斉唱 ⑦記念撮影という流れで、この他にも、徳島の佐野さんが阿波踊りの奉納を行いましたが、阿波踊りの指導をされているだけあり素晴らしい踊りでした。私も福山歩兵第41連隊に対する追悼文を読み上げましたので、ここでご紹介します。 追悼文 福山歩兵第41連隊の皆様へ 謹んで過ぐる昭和17年8月21日バサブア上陸以来、ポートモレスビー攻略作戦に参加され、祖国の為に生命を捧げられた福山歩兵第41連隊連隊長故矢沢清美大佐以下2000の英霊の皆様に申し上げます。 皆さまがここココダに到着したのは8月26日、ここより未知のスタンレー山脈を20日分の食料と弾薬を背負っての行軍、誠にお疲れ様でした。加えて不慣れなジャングルにおける戦闘、マラリア等の風土病、その他幾多の困難を乗り越え、モレスビーの灯りが遠望できるイオリバイワに達するも無念の撤退、その心中は察するに余りあります。特に第2大隊は殿(しんがり)を務めながらの後退、お疲れ様でした。第1・3大隊から選抜された臨時輜重隊員の皆様も、高砂義勇隊や現地住民と共に糧秣や傷病兵の担送に尽力されたご苦労を労うものです。そして再びここココダに戻ってこられたのは10月4日頃とのことです。この間約40日、あの精強だった41連隊が見るも無残なほどに消耗してしまったそうですが、ここはまだ地獄の一丁目でした。この後のオイビの防衛戦、クムシ川の決死の渡河、そしてギルワの殲滅戦という地獄の戦場において、皆様は死ぬほど苦しい思いと寂しい思いをしながら死んでいったのです。どれほど祖国・故郷が恋しかったことでしょう。ご安心ください、その思いを私たちはいつまでも忘れることはありません。 今日の福山市の繁栄は皆様の尊い犠牲の上にあるという事を福山市民は知らなければなりません。歴史を知らないということは罪なことです。ここで、祖国と福山の繁栄のために敢闘された41連隊の皆様のご遺志を無駄にしないことを誓い、ご参列の方々と共に心からご冥福をお祈り申し上げます。どうか安らかにお眠り下さい。合掌 平成23年7月18日 福山市議会議員 大田祐介 ![]() ここには戦争博物館もあり、オーストラリアとニューギニアがいかに協力的に作戦を進めたかという展示内容になっています。展示物の中には日本軍の92式重機関銃や擲弾筒があり、元擲弾筒兵の西村さんに射撃姿勢を教えていただいたりしました。付近のヤシの木にはまだ多くの弾痕が残っており、西村さんより「この崖を突撃姿勢で駆け上った」等の証言を聞きながらココダの戦場跡に立つと、ここから始まるスタンレー山脈を越えポートモレスビーに至る「ココダトレイル」をぜひ踏破したいという気持ちが湧いてきました。オーストラリア人にとっては「ヴィクトリーロード」にあたり、年間に何百人という人が約1週間かけて踏破しているそうです。日本人もこの道を辿り、先人の苦労を偲ぶという経験が必要ではないでしょうか。現地の住民と話をしていると「私の息子はココダトレイルのガイドをやっている」という人がおり、来年はぜひガイドしてほしいと名刺を渡して別れました。 ココダを後にして41連隊が後退時に防衛陣地を築いたオイビを通り、ワージュという部落(日本軍はバリイベと呼んだ)に寄りました。ここは144連隊が防衛陣地を築いた場所で、ここでも西村さんは多くの遺骨を収容しました。部落における西村さんの人気は絶大で、おかげで私たちも大歓迎を受けました。西村さんはただ単に遺骨を掘っただけではなく、現地住民に溶け込み、道路整備や学校建設等のできる限りの支援を行ったそうです。ここでも慰霊祭を執り行いましたが、場所は日本兵のタコツボ陣地跡の前で、タコツボを現地の方がまるでお墓のようにきれいに整備してくれていました。西村さんはここで元上官の弁当箱を掘り出しましたが、その弁当箱には西村さん自身が彫った上官の名前が刻まれており、しばらく体の震えが止まらなかったそうです。高知県議をはじめ高知出身者による「よさこい」の斉唱もあり、慰霊祭はとても良い雰囲気で終了しました。 ![]() ワージュを後にして日本軍の撤退路に沿ってクムシ川に向かいました。クムシ川は幅100mほどもある急流で、渡河点はすでに豪軍の手に落ちて渡れないと判断した41連隊の小岩井少佐は左岸沿いに撤退するよう指示しました。しかし実際には渡河点では工兵がワイヤーロープを渡し、小舟で往復しており、西村さんら144連隊の第5中隊が押さえていたそうです。西村さんらは41連隊が来るのを待っていたが、慎重な小岩井少佐の誤判断により待ちぼうけを食い、仕方なくワイヤーを切断して後退したそうです。渡河点を避けて迂回した41連隊はクムシ川をイカダで渡ろうとして多くの将兵が命を落とし、南海支隊の堀井支隊長もカヌーで川を下り海まで出たところで転覆して亡くなっています。いずれにせよ小岩井少佐の判断が悪かったのは現地の情報の少なさもあり、結果論とも言えるでしょう。ここで福山の石井様から託された写経と花輪と41連隊の卒塔婆をクムシ川に流しました。 ニューギニアは赤道近くにあるため、1年中夜明けは6時、日没は18時です。夕やみ迫る中、ポポンデッタ近くのサンガラミッションという教会に寄りましたが、この近くで日本兵に協力したという容疑で400人の現地住民がオーストラリア軍により処刑されたとのことです。それも苦しい絞首刑であったとのことです。西村さんがその霊を慰めるために教会の敷地内に慰霊碑を建てられていました。決して戦史の表には出てこない話でしょう。
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| 2011-07-21 22:23
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