数年前に大山振子沢を滑った際に、東壁の急峻な一枚バーンを見初めて以来、いつかは滑りたいと機会を窺っていました。時期的には2週間遅かったが、中村君という良いパートナーに恵まれ、私にとっては長年の課題であった、伯耆大山東壁の滑降に曲がりなりにも成功する事ができました。
詳細は中村君のHPもご参照ください。 http://homepage3.nifty.com/mt-ski/index.html 【コース】文殊堂-文殊越-鳥越峠-駒鳥小屋-振子沢-天狗ヶ峰-東壁滑降-本沢-駒鳥小屋-鳥越峠-文殊堂 【装備】フリートレックⅠ,ノルディカTR12(大田) K2サミット 150cm,ディアミール2,スカルパ(中村) <バックは大山東壁> 大阪の中村君とはここ3年、GWは必ず山スキーでご一緒していますが、今回は富士山吉田大沢か白山が候補に挙がっていましたが、私の希望で半ば強引に大山に決まりました。今年の積雪量ならGWでも問題なく滑れるであろうと、2日夕刻に大山・文殊堂に到着したが、山肌はほぼ9割方茶色である。これは中村君に申し訳ないことをしたと思ったが、行くだけ行くことにする。 4時起床するも、私が準備に手間取り4:50の出発となる。文殊谷には残雪があるものの、踏み抜くことも多く、雪に押さえられた笹が道を隠してしまい、文殊越付近でルートを見失いました。またルート上に昨年の台風による倒木がいたるところにあり、長板をかついだ中村君は難渋していた。鳥越峠から残雪も豊富となり、グリゼード風に滑って降りて7時に駒鳥小屋着、ブナの新緑が美しい。 振子沢出合は完全に沢が露出しており、スキーブーツで慎重に渡渉していたつもりが、痛恨の落水をしてしまった。上半身は着替えたが、下半身の替えは用意しておらず、ブーツも水浸しになるも、天気が良かったので登行を続行するが、大幅にタイムロスする。 振子沢は落石と風が運んできた土砂で汚れており、滑られる状態では無い。つぼ足のまま1600mの源頭に達し、目指す東壁がやっと視界に入ったが、予想以上に雪は少なく、また斜度も急に見える。おそらく50度ほどではなかろうか。壁下部は見えないがぎりぎり雪が繋がっているように見えるので、協議の結果、行くことにする。しかしそこから天狗ヶ峰を経由して槍ヶ峰とのコルの滑降スタート地点までの稜線は恐ろしく切り立っており、1歩ごとに大量の土砂が崩落し、スキーブーツでは2度と通りたくないと感じました。 スタート地点から覗き込むと、吸い込まれるような谷が続いているが、今さらさっきの道を引き返せないという点で一致した。念のために文殊堂で待つ妻にメールを打ち、意を決して10時15分に私が先頭で飛び込んだ。雪は緩んでおり、ジャンプターンで順調に高度を下げてゆき、壁の基部で中村君と合流し、滑降成功を喜び合いました。しかし、一息つくもここから先が落石の巣となっており、槍尾根や谷の両側からひっきりなしに落石があり、行く手の斜面はなんと落石で雪面が覆い尽くされています。そこは板を脱いで駆け下りましたが、まるで戦場から退却している気分で、「自分にだけは当たらない」と信じるしかありませんでした。 やっと安全地帯に達し、落石により全体に霞が掛かった状態の東壁を振り返り、何事も無くて良かったと2人して安堵したものです。後は本沢を快適に滑り、振子沢出合まで一気に滑り降り、12時に駒鳥小屋に戻りました。新緑のブナの森を満喫して、ゆっくりゆっくり14時に文殊堂に帰着しました。 <滑降終了地点にて>
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| 2005-05-03 11:49
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